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奥歯の歯茎が腫れて押すと痛い原因とは|考えられる病気・応急処置・受診の目安を解説

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛い原因とは|考えられる病気・応急処置・受診の目安を解説

こんにちは。兵庫県川西市、川西能勢口駅から徒歩3分の川西歯医者 ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科です。

「奥歯の歯茎がぷっくり腫れて、指や舌で押すと痛む」「昨日までは何ともなかったのに」と、急な変化に戸惑っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いとき、歯茎の内側では炎症が起きている可能性があります。

原因は歯周病だけではありません。歯の根の先にたまった膿や親知らず、歯の根のひびなども考えられます。

同じ「押すと痛い」という症状でも、原因によって適した治療は異なります。

この記事では、押すと痛くなる仕組みと考えられる原因、痛み方や腫れた場所による見分け方を解説します。

あわせて、受診までの応急処置や受診の目安、歯科医院での治療、繰り返さないための予防もお伝えします。

「このまま様子を見ていいのか」と迷っている方の判断材料になれば幸いです。

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いのはなぜ起こるのか

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いとき、「何が起きているのか分からない」と不安を抱える方は少なくありません。

腫れと押したときの痛みは、どちらも歯茎の内側で炎症が起きているときに現れやすい反応です。

炎症とは、細菌などの刺激から体が身を守ろうとして起こる反応のことです。

さらに奥歯は、前歯に比べて汚れがたまりやすく、炎症が起こりやすい構造をしています。

押すと痛くなる体の仕組みと、奥歯の歯茎が腫れやすい理由について、次で詳しく解説します。

押したときの痛みは炎症で神経が敏感になっているサイン

歯茎に細菌が増えると、体は細菌を追い出すために血管を広げ、白血球などを患部へ集めます。

このとき血管から水分がしみ出して組織にたまるため、歯茎がぷっくりと膨らんで見えます。

これが「腫れ」の正体です。

同時に、炎症が起きた場所ではプロスタグランジンやブラジキニンといった物質がつくられます。

これらは、痛みを感じる神経の反応を高める働きを持つ物質です。そのため、普段なら痛まない程度の刺激でも、痛みとして感じやすくなります。

医学的には「末梢性感作(まっしょうせいかんさ)」と呼ばれる状態です。指や舌で軽く押しただけで痛むのは、この仕組みによるものと考えられています。

また、腫れて内側の圧力が高まった歯茎は、外から押されると神経がさらに圧迫されます。「触らなければ平気なのに、押すと痛い」という症状は、炎症が起きていることを知らせるサインといえます。

なお、痛み止めで症状が和らぐのは、こうした炎症物質がつくられるのを薬が抑えるためです。

原因の細菌が取り除かれたわけではない点に注意が必要です。

夜になると痛みが強くなると感じる方もいらっしゃいます。

横になると頭のほうへ流れる血液が増え、腫れた部分の圧力が高まりやすくなるためと考えられています。

また、日中は仕事や家事に気持ちが向いていても、静かな夜には痛みに意識が向きやすくなることも関係しています。

奥歯の歯茎が前歯より腫れやすい理由

歯茎の腫れはどの歯にも起こりえますが、歯科医院では奥歯の歯茎の腫れに関する相談が多く見られます。

「前歯は何ともないのに、なぜ奥歯ばかり腫れるのか」と感じている方もいらっしゃるでしょう。

奥歯の歯茎が腫れやすい背景には、磨きにくさ、歯の根の形、親知らずの存在という3つの理由があります。

いずれも、毎日の歯磨きや体調だけでは説明しきれない、奥歯ならではの事情です。

磨きにくさ、根の形、親知らずのそれぞれが、なぜ腫れにつながるのかを以下で順に見ていきます。

歯ブラシが届きにくく歯垢が残りやすい

奥歯は口の奥に位置するため、歯ブラシの毛先をまっすぐ当てることが難しい部位です。

特に、歯列の最も奥にある歯の後ろ側や、舌側の面は、磨いたつもりでも毛先が届いていないことがあります。

また、口を大きく開けて磨くと頬の筋肉が張り、歯ブラシが奥まで入りにくくなります。

磨き残した歯垢には多くの細菌がすみついています。

歯垢が数日残るだけでも、周りの歯茎に炎症が起こりやすくなります。

根が2〜3本に分かれ、根の分かれ目に汚れが入りやすい

前歯の根が基本的に1本であるのに対し、奥歯の大臼歯は根が2本から3本に分かれています。

この根の分かれ目を「根分岐部(こんぶんきぶ)」と呼びます。

歯周病が進んで歯を支える骨が減ると、根分岐部が歯茎の中で露出し、くぼみのような空間ができます。

くぼみの中には歯ブラシの毛先が入らないため、細菌がたまりやすくなります。

その結果、炎症が長引いたり、急に腫れたりする原因になります。

親知らずが近く、歯茎が歯にかぶさりやすい

奥歯のさらに奥には、親知らず(第三大臼歯)が生えてくることがあります。

親知らずは、あごのスペースが足りないと斜めに傾いたり、一部だけ顔を出した状態で止まったりします。

このとき歯の上に歯茎がかぶさり、歯と歯茎の間にすき間ができます。

すき間には食べかすや細菌が入り込みやすいうえ、歯ブラシの毛先も届きません。

そのため、親知らずの周りの歯茎は腫れやすい環境にあります。

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いときに考えられる主な原因

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛い場合、「歯茎の病気だろう」と考える方が多いかもしれません。

しかし、腫れの原因は歯茎そのものだけでなく、歯の根の先や親知らず、歯の根のひびにある場合もあります。

大きく分けると、歯周病、歯の根の先の炎症、親知らずの周りの炎症、歯の根のひびや破折が考えられます。

さらに、食べ物の詰まりなどの物理的な刺激や、体の抵抗力の低下が腫れのきっかけになることもあります。

見た目が似ていても、原因によって治療の方法は大きく異なります。

それぞれの原因の特徴について、次で詳しく解説します。

歯周病(歯肉炎・歯周炎)による炎症

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛い原因として、まず考えられるのが歯周病です。

歯周病は、歯と歯茎のすき間(歯周ポケット)にたまった細菌によって炎症が起こる病気です。

炎症が歯茎だけにとどまる段階を「歯肉炎」、歯を支える骨まで広がった段階を「歯周炎」と呼びます。

厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査では、4mm以上の歯周ポケットがある人は15歳以上で47.9%と報告されています。

およそ2人に1人が、歯周病の兆候を抱えている計算です。

歯周病は自覚症状が少ないまま進むことが多い病気です。

一方で、疲れや体調の変化をきっかけに、急に腫れて痛む時期があります。

「普段は気にならなかったのに、急に押すと痛くなった」という場合も、背景に歯周病が隠れていることがあります。

歯周病を進めやすくする要因としては、喫煙や糖尿病、妊娠中のホルモンバランスの変化などが知られています。

たとえば糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、細菌と戦う力が弱まり、歯茎の炎症が強くなりやすくなります。

喫煙は歯茎の血流を減らすため、炎症があっても出血や腫れが目立ちにくく、気づいたときには進んでいることがあります。

歯周病の痛みについてより詳しくは以下をご覧ください。

>>歯周病の痛みがズキズキするときの対処法|応急処置から受診の目安まで解説

歯周ポケットに膿がたまる「歯周膿瘍」

歯周病が進んだ歯の周りで歯周ポケットの入り口が狭くなると、内側の膿が外に出られなくなります。

こうして歯茎の中に膿がたまった状態を「歯周膿瘍(ししゅうのうよう)」と呼びます。

歯周膿瘍では急に歯茎が大きく腫れ、押すと強く痛むのが特徴です。

歯が浮いたような感覚を伴うこともあります。

2018年に発表された歯周病の国際的な分類では、歯周膿瘍は「急性の歯周病変」に位置づけられています。

早めの対応が望ましい状態であり、睡眠不足や疲れなどで抵抗力が落ちたときに起こりやすい傾向もあります。

また、深い歯周ポケットがある歯では、歯石を取ったあとにポケットの入り口だけが先に引き締まり、内側に残った細菌で膿瘍ができることもあります。

奥歯の歯茎の腫れとストレスの関係についてより詳しくは以下をご覧ください。

>>奥歯の歯茎の腫れとストレスの関係|疑うべき原因と対処法を解説

根の分かれ目に炎症が起こる「根分岐部病変」

奥歯の根の分かれ目まで歯周病が進んだ状態を「根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)」と呼びます。

前の章で触れたとおり、根分岐部は歯ブラシや歯間ブラシが届きにくい場所です。

そのため、表面の汚れを落としていても、根の分かれ目の奥で細菌が増え続けることがあります。

「歯磨きはしているのに、同じ奥歯の歯茎が何度も腫れる」という場合は、根分岐部病変が関係していることがあります。

根分岐部の奥の汚れは、セルフケアだけで取り除くことが難しい部分です。

歯科医院での専門的な清掃や治療で、根の分かれ目の奥まで汚れを取り除く必要があります。

歯の根の先の炎症(根尖性歯周炎)

虫歯が深く進むと、歯の中にある神経(歯髄)に細菌が入り込み、やがて神経が死んでしまうことがあります。

細菌はさらに根の中を通って根の先から骨の中へ広がり、炎症を起こします。

この状態を「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」と呼びます。

根の先に膿がたまると、骨の外側を覆う歯茎が内側から押し上げられ、腫れや押したときの痛みが現れます。

歯周病による腫れは、歯と歯茎の境目に出やすい傾向があります。

これに対し、根尖性歯周炎では歯茎の根元から少し離れた位置が腫れやすいのが特徴です。

ただし、歯周病と根の先の炎症が同時に起きていることもあり、見た目だけで区別することは難しいのが実情です。

神経を抜く治療の痛みについてより詳しくは以下をご覧ください。

>>虫歯で神経を抜く痛みはどれくらい|治療前・治療中・治療後の目安と麻酔が効きにくい理由

>>当院の虫歯治療についてはこちら

神経が死んだ歯や過去に治療した歯で起こりやすい

根尖性歯周炎は、神経が死んでしまった歯や、過去に神経を取る治療(根管治療)をした歯に起こりやすい病気です。

神経が死んだ歯は痛みを感じにくいため、根の先で炎症がゆっくり進んでいても気づかないことがあります。

また、根の中は細く複雑な形をしています。

治療後に残った細菌や、被せ物のすき間から入った細菌が原因で、再び炎症が起こることもあります。

「何年も前に治療した歯だから大丈夫」と思っていた奥歯が、ある日突然腫れることがあるのはこのためです。

レントゲンを撮ると、根の先に黒い影として炎症が写ることがあります。

ただし、骨の奥で起きている小さな炎症は、通常のレントゲンでは写りにくい場合もあります。

白いニキビのようなできもの(フィステル)が出ることもある

根の先にたまった膿の出口ができると、歯茎に白いニキビのようなできものが現れることがあります。

これを「フィステル(瘻孔:ろうこう)」と言います。

膿の出口ができると内側の圧力が下がるため、腫れや押したときの痛みが一時的に和らぐことがあります。

しかし、膿の出口ができただけで、根の先の炎症が治ったわけではありません。

「できものがつぶれて楽になったから治った」と考えず、歯科医院で原因の歯を確認することが大切です。

親知らずの周りの炎症(智歯周囲炎)

親知らずの周りの歯茎に起こる炎症を「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼びます。親知らずにかぶさった歯茎のすき間で細菌が増えることで起こります。

親知らずが生えてくる10代後半から20代に多く見られますが、それ以降の年代でも起こることがあります。

主な症状は、奥歯のさらに奥の歯茎の腫れや、押したときの痛みです。

炎症が強くなると、口が開けにくい、飲み込むときに喉が痛むといった症状が出ることもあります。

顎の下のリンパ節が腫れて、触ると痛むこともあります。

炎症は一度おさまっても、体調を崩したときなどに繰り返しやすい傾向があります。

生えかけの親知らずの痛みについてより詳しくは以下をご覧ください。

>>生えかけの親知らずが痛む原因といつまで続くか|自宅での対処法も解説

歯の根のひびや破折

歯の根にひびが入ったり割れたりする「歯根破折(しこんはせつ)」も、奥歯の歯茎が腫れる原因の一つです。

特に、神経を取る治療をした歯は、神経が残っている歯に比べて割れやすいことが知られています。

奥歯には噛む力が大きくかかるため、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は根に負担が集中しやすくなります。

根のひびから細菌が入り込むと、ひびに沿って歯茎が腫れたり、部分的に深い歯周ポケットができたりします。

噛んだときに痛むことが多いのも特徴です。

ひびはとても細く、レントゲンには写りにくいことがあります。そのため、歯科用CTや拡大鏡を使った精密な検査が役立ちます。

食べ物の詰まり・被せ物の段差・歯ぎしりによる刺激

奥歯の歯茎の腫れは、細菌の感染だけでなく、物理的な刺激がきっかけになることもあります。

一つ目は、歯と歯の間に食べ物が詰まる「食片圧入(しょくへんあつにゅう)」です。肉や野菜の繊維が歯茎に押し込まれると、その部分だけが腫れて押すと痛むことがあります。

二つ目は、詰め物や被せ物と歯の境目にできた段差やすき間です。段差に歯垢がたまると、周りの歯茎に炎症が起こりやすくなります。

三つ目は、歯ぎしりや食いしばりによって奥歯に強い力がかかり続ける状態です。歯を支える組織が傷つき、歯茎の違和感や押したときの痛みにつながることがあります。

詰まった物を取り除くと数日で落ち着く場合もあります。同じ場所で繰り返す場合は、歯と歯の間のすき間や被せ物の状態を歯科医院で確認することがすすめられます。

疲れや体調不良で抵抗力が落ちているとき

睡眠不足や疲れ、風邪などで体の抵抗力が落ちると、歯茎の腫れが目立ちやすくなります。

これは、もともと歯周ポケットや親知らずの周りにいた細菌を、体が抑えきれなくなるためです。

「忙しい時期になると、決まって同じ奥歯が腫れる」という経験がある方もいらっしゃるでしょう。

この場合、体調の変化は腫れの「きっかけ」であり、腫れの「原因」は歯や歯茎の側にあることがほとんどです。

休息をとって腫れが引いても、細菌がたまりやすい場所が残っていれば、次に体調を崩したときに再び腫れることがあります。体調が回復したタイミングで、腫れた場所の状態を歯科医院で確認しておくと安心です。

奥歯の歯茎の腫れと押すと痛い症状の見分け方

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いとき、「自分の場合はどの原因なのか」が気になる方も多いでしょう。

痛み方の違いや腫れている場所によって、原因の手がかりが得られることがあります。

ここでは、押すと痛い・噛むと痛い・何もしなくても痛いという痛み方の違いを紹介します。

あわせて、腫れている場所ごとに考えられる原因や、上の奥歯で注意したい鼻の病気、口内炎との違いにも触れます。

ただし、複数の原因が重なっていることも多く、最終的な判断には歯科医院での検査が必要です。

見分け方のポイントについて、次で詳しく解説します。

「押すと痛い」「噛むと痛い」「何もしなくても痛い」の違い

歯科医院では、痛みの出方を確認することが原因を探る手がかりになります。

歯茎を指で押したときに痛む「圧痛」は、歯茎やその内側に炎症や膿があることを示しやすい症状です。

一方、噛んだときに痛む「咬合痛(こうごうつう)」は、歯根膜に炎症がある場合に出やすくなります。

歯根膜(しこんまく)とは、歯の根と骨の間にあるクッションのような組織です。根の先の炎症や歯根破折があると、歯根膜に炎症が及び、噛んだときの痛みが出ることがあります。

何もしなくてもズキズキ痛む「自発痛」は、炎症が強くなっているときに出やすい症状です。

膿がたまって内側の圧力が高まっている可能性もあります。ただし、痛み方と原因がいつも一対一で結びつくわけではありません。

「押すと痛いだけだから歯茎の問題だろう」と思っていても、実際には根の先の炎症が原因だったということもあります。

「いつ、何をしたときに痛むのか」をメモしておくと、受診したときに原因を確かめやすくなります。

腫れている場所から考えられる原因

腫れている場所も、原因を考える手がかりの一つです。

鏡で確認するときは、明るい場所で口を大きく開け、腫れている位置を見てみてください。

歯列の最も奥なのか、歯と歯の間なのか、歯の根元から離れた位置なのかによって、考えられる原因が変わります。

ただし、腫れた部分を強く押したり、指で引っ張ったりすると炎症が悪化することがあります。見るだけにとどめ、触る場合も軽く確かめる程度にしましょう。

場所ごとに考えられる原因は、以下のとおりです。

歯列の最も奥の歯のさらに奥が腫れている

歯列の最も奥の歯のさらに奥、歯茎だけに見える部分が腫れている場合は、親知らずの周りの炎症が考えられます。親知らずが歯茎に半分かぶった状態や、骨の中に埋まった状態だと、外から歯が見えないこともあります。

「親知らずは生えていないはず」と思っていても、レントゲンで埋まった親知らずが見つかることは珍しくありません。

口が開けにくい、飲み込むと痛むといった症状を伴う場合は、早めの受診がすすめられます。

歯と歯の間の歯茎が腫れている

歯と歯の間にある三角形の歯茎が腫れている場合は、歯周病や食べ物の詰まりが関係していることが多いと考えられます。

食事のあとに同じ場所に物が挟まる感覚がある場合は、歯と歯の間にすき間ができている可能性があります。

詰め物や被せ物が入っている歯の間であれば、境目の段差に歯垢がたまって炎症を起こしていることもあります。フロスを通したときに出血や引っかかりがあるかどうかも、受診時に伝えたい情報の一つです。

歯の根元から少し離れた位置が腫れている

歯と歯茎の境目から少し離れた位置が腫れている場合は、根尖性歯周炎の可能性があります。

下の奥歯なら歯茎の下のほう、上の奥歯なら歯茎の上のほうに、丸く盛り上がるような腫れが出ることがあります。白いできものがある場合や、過去に神経を取る治療をした歯の近くが腫れている場合は、根の状態の確認が必要です。

なお、腫れていても痛みがない場合には、慢性的な炎症が続いていることがあります。

痛くないのにぷっくり腫れる場合についてより詳しくは以下をご覧ください。

>>歯茎が腫れて痛くないのにぷっくり|考えられる原因と放置がダメな理由・正しい対処法

上の奥歯の痛みは鼻の病気が関係していることもある

上の奥歯の根の先は、鼻の横にある「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞のすぐ近くにあります。人によっては根の先と上顎洞の間の骨がとても薄く、根の先が上顎洞に接していることもあります。

そのため、副鼻腔炎(上顎洞炎)が起こると、炎症が近くの神経に影響し、上の奥歯や歯茎が痛むことがあります。

「鼻づまりや鼻水があり、上の奥歯がまとめて痛む」という場合は、歯以外が原因の痛みも考えられます。

反対に、上の奥歯の根の先の炎症が上顎洞に広がり、副鼻腔炎を起こすこともあります。674症例を分析した2014年のシステマティックレビューでは、原因となった歯として第一大臼歯と第二大臼歯が多く挙げられています。

歯と鼻のどちらが原因かを見分けるには、歯科用CTで根の先と上顎洞の状態を確認することが役立ちます。必要に応じて、耳鼻咽喉科と連携して原因を確かめることもあります。

口内炎との違い

奥歯の歯茎にできた痛みのある盛り上がりを、口内炎と見分けにくいことがあります。口内炎は、歯茎の表面がえぐれたように白っぽくなり、周りが赤く縁取られているのが一般的な見た目です。

食べ物や歯ブラシが触れるとしみるように痛み、多くは1〜2週間ほどで自然に治っていきます。

一方、歯茎の腫れは表面がえぐれず、内側からぷっくりと盛り上がるのが特徴です。押すと内側から響くように痛んだり、噛んだときに歯にも痛みを感じたりする場合は、口内炎以外の原因が考えられます。

「口内炎だと思っていたのに、2週間たっても治らない」という場合は、歯科医院で一度確認してもらいましょう。

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いときの応急処置と避けたい行動

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いとき、「今日は歯科医院へ行けない」という方もいらっしゃるでしょう。受診までの過ごし方によって、痛みが和らぐこともあれば、反対に腫れが強くなることもあります。

ここでは、自宅でできる応急処置と、腫れを悪化させやすい行動を紹介します。また、痛みが引いたからと受診をやめてしまう前に知っておきたい注意点にも触れます。

受診までの過ごし方について、次で詳しく解説します。

自宅でできる応急処置

腫れや痛みが強いときは、頬の外側から冷やすと楽になることがあります。冷たい水で濡らしたタオルや、タオルで包んだ保冷剤を頬に当てます。

10分ほど当てたら少し外す、という流れを繰り返しましょう。氷を直接肌に当て続けたり長時間冷やし続けたりすると、血流が悪くなりすぎるため注意が必要です。

痛みが強い場合は、市販の鎮痛薬を説明書に記載された用法・用量の範囲で使う方法もあります。持病がある方や妊娠中の方、ほかの薬を飲んでいる方は、薬剤師や医師に相談してから使ってください。

口の中は、やわらかい歯ブラシで腫れた部分の周りを軽く磨き、清潔に保つことを心がけます。腫れた歯茎には毛先を強く当てず、ほかの歯はいつもどおり丁寧に磨きましょう。

食事は腫れている側で噛むのを避け、熱すぎるものや香辛料の多いものを控えると刺激を減らせます。

うがい薬を使う場合は、アルコールを含まない刺激の少ない洗口液を選ぶと、腫れた歯茎へのしみる刺激を抑えられます。強くブクブクとうがいをすると患部を刺激するため、口に含んで軽くすすぐ程度にとどめます。

あわせて、十分な睡眠と栄養をとり、体の抵抗力を保つことも腫れを長引かせないために役立ちます。

腫れを悪化させやすい行動

腫れている歯茎が気になると、つい指や舌で押して確かめたくなるものです。しかし、何度も押したり触ったりすると、その刺激で炎症が強くなることがあります。

白いできものや膿が見えても、針や爪でつぶすことは避けましょう。傷口から細菌が入り、感染が広がるおそれがあります。

また、患部を温めると血流が増え、腫れや痛みが強くなることがあります。長時間の入浴やサウナ、飲酒、激しい運動も血流を増やすため、腫れている間は控えることがすすめられます。

もう一つ注意したいのが、以前処方された抗生物質の残りを自己判断で飲むことです。抗生物質は、原因の細菌や体の状態に合わせて種類や量が選ばれる薬です。

自己判断で飲むと十分な効果が得られないだけでなく、薬が効きにくい細菌が増えることにもつながります。親知らずの周りの炎症を扱った2021年の文献レビューでも、まず局所の洗浄などを行うことが推奨されています。

抗生物質は、全身症状がある場合など必要なときに限って使うべきとされています。

痛みが引いても原因が残っていることがある

応急処置や鎮痛薬で痛みが和らぐと、「このまま治るかもしれない」と受診を先延ばしにしたくなるかもしれません。

しかし、痛みが引いた理由が「膿の出口ができた」「薬で炎症が抑えられた」である場合、原因は残ったままです。歯周ポケットの奥の歯石や、根の中の細菌、親知らずの周りのすき間は、自然になくなることはありません。

炎症がおさまっているように見える間も、歯を支える骨がゆっくり減り続けていることがあります。そして、体調を崩したときなどに再び腫れて痛む、ということを繰り返しやすくなります。

「痛くないうちに原因を確かめておこう」と考えて受診することが、歯を長く残すことにつながります。

奥歯の歯茎の腫れで押すと痛いときの受診の目安

奥歯の歯茎の腫れで押すと痛いとき、「どのくらい急いで受診すればいいのか」と迷う方も多いでしょう。

腫れの多くは歯科医院で原因を確かめ、治療を受けることで対応できます。ただし、なかには早急な処置が必要な状態もあります。

ここでは、早急に受診したいサイン、数日以内の受診がすすめられるケース、妊娠中や持病のある方の注意点を紹介します。

受診の目安について、次で詳しく解説します。

早急に受診したいサイン

歯茎の腫れが頬や顎の下、首のほうまで広がっている場合は、炎症が歯の周りの組織へ広がっている可能性があります。このような状態は「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と呼ばれ、点滴などによる治療が必要になることもあります。

38度以上の熱がある、口が指2本分も開かない、飲み込むのがつらいといった症状も、早急に受診したいサインです。息苦しさを感じる場合は、腫れが喉のほうへ広がっているおそれがあります。

夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診してください。かかりつけの歯科医院が休診日の場合は、地域の休日歯科診療所や、口腔外科のある病院に相談する方法もあります。

妊娠中の方や持病のある方が気をつけたいこと

妊娠中は女性ホルモンの影響で、歯茎が腫れやすく出血しやすい状態になることが知られています。「妊娠中だから歯科医院に行くのは控えたほうがいいのでは」と迷う方もいらっしゃるでしょう。

妊娠中でも、時期や体調に合わせて検査や処置を行うことはできます。受診の際は妊娠中であることと妊娠週数を伝え、薬の処方やレントゲン撮影について相談してください。

また、糖尿病の方は感染が広がりやすく、腫れが長引くこともあるため、早めの受診がすすめられます。心臓の病気などで血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、処置の内容に関わるため、お薬手帳を持参すると安心です。

数日以内に受診したいケース

腫れが3日以上引かない場合や、同じ場所が何度も腫れる場合は、数日以内の受診がすすめられます。

噛んだときにも痛む、歯がぐらぐらする、歯茎から膿や血が出るといった症状がある場合も同様です。

これらは、歯周病の進行や根の先の炎症、歯根破折などが関係している可能性があります。

「痛みはそれほど強くないから」と様子を見たくなる気持ちもあるかもしれません。

しかし、早い段階で原因を確かめるほど、歯を削る量や治療の回数を抑えられる可能性が高まります。受診の際は、腫れに気づいた時期と痛みの出方を伝えましょう。

過去にその歯を治療したかどうかも伝えると、診察がスムーズに進みます。

奥歯の歯茎の腫れ・押すと痛い症状に対する歯科医院での検査と治療

奥歯の歯茎の腫れで受診するとき、「どんな検査や治療をされるのか分からず不安」という方もいらっしゃるでしょう。歯茎の腫れは原因によって治療方法が大きく異なるため、まずは検査で原因を確かめることから始まります。

当グループには、日本歯周病学会認定医や日本歯内療法学会専門医、日本口腔外科学会認定医が在籍しています。歯周病・根の治療・親知らずといった分野ごとの専門的な知見をもとに、腫れの原因と治療方針をご説明します。

検査の内容と原因別の治療について、次で詳しく解説します。

原因を確かめるための検査

歯科医院では、まず問診で、腫れに気づいた時期や痛みの出方、過去の治療歴を伺います。そのうえで、歯周ポケットの深さを細い器具で測り、歯周病の進み具合を確認します。

歯を軽くたたいて痛みを確かめる「打診」や、歯の神経が生きているかを調べる検査も行います。これらは、根の先の炎症かどうかを見分ける手がかりになります。

レントゲン撮影では、歯を支える骨の量や、根の先に膿がたまった影がないかを確認します。レントゲンだけでは分かりにくい根のひびや、上顎洞との位置関係を確かめる際には、歯科用CTを使います。

川西歯医者 ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科では、歯科用CTとマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を導入しています。肉眼では見えにくい部分まで確認しながら、診断を行っています。

原因別の主な治療

検査で原因が分かったら、原因に合わせた治療を行います。腫れや痛みが強い場合は、まず膿を出す処置や洗浄、必要に応じた薬の処方で症状を和らげます。そのあとで原因そのものへの治療を進めるのが、一般的な流れです。

ここでは、歯周病・歯周膿瘍、根尖性歯周炎、智歯周囲炎という主な3つの原因について、治療の流れを紹介します。

いずれの治療も、内容や期間、費用について事前にご説明し、納得していただいたうえで進めていきます。

歯周病・歯周膿瘍の治療

歯周膿瘍で腫れが強い場合は、歯周ポケットの洗浄や、歯茎を小さく切開して膿を出す処置を行います。

炎症が落ち着いたら、歯の表面や歯周ポケットの中の歯石を取り除くスケーリングを行います。

ポケットが深い場合は、根の表面をなめらかに整えるルートプレーニングで、細菌が再びつきにくい状態をつくります。

日本歯周病学会のガイドラインでも、こうした原因の除去と、その後の継続的な管理が治療の基本とされています。

歯周病で骨が大きく減っている場合は、状態によって歯茎を開いて根の奥を清掃する外科的な処置や、骨の回復を促す再生療法を検討することもあります。

>>当院の歯周病治療についてはこちら

根尖性歯周炎の治療

根の先の炎症が原因の場合は、根の中の感染した部分を取り除き、洗浄・消毒する根管治療を行います。根の中は細く枝分かれした構造をしています。

拡大した視野で細部まで確認しながら処置を進めることが、炎症の再発を防ぐうえで役立ちます。治療では、できるだけ神経や歯を残すことを目標に進めていきます。

根管治療で改善が難しい場合や歯根破折が見つかった場合は、ほかの治療方法も含めてご相談します。根管治療は、根の中の消毒と薬の交換を数回に分けて行うことが一般的です。

治療の途中で通院をやめてしまうと、仮の蓋のすき間から細菌が入り、炎症が再び起こることがあります。

最後に被せ物を入れて根の中を密閉するところまで、治療を続けることが大切です。

智歯周囲炎の治療

親知らずの周りの炎症では、まず歯茎のすき間を洗浄し、必要に応じて薬を処方して炎症を抑えます。炎症が落ち着いたあと、親知らずの生え方や、腫れを繰り返しているかどうかをもとに抜歯を検討します。

親知らずがまっすぐ生えていて歯ブラシが届き、噛み合わせにも役立っている場合は、抜かずに経過を見ることもあります。

一方、斜めに埋まって炎症を繰り返している場合は、抜歯がすすめられることがあります。手前の歯に虫歯や歯周病を起こしている場合も同様です。

抜歯を行う場合は、CTで神経や血管との位置関係を確認したうえで、安全に配慮して処置を進めます。

奥歯の歯茎の腫れと押すと痛い症状を繰り返さないための予防

奥歯の歯茎の腫れと押すと痛い症状は、一度治療しても繰り返すことがあります。

原因となる汚れがたまりやすい環境が、そのまま残っている場合です。「また同じ場所が腫れたらどうしよう」という不安を減らすには、毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なチェックの両方が大切です。

ここでは、奥歯の奥まで届くセルフケアの方法、定期検診の役割、生活習慣と噛み合わせの見直しについて解説します。予防のポイントについて、次で詳しく解説します。

奥歯の奥まで届くセルフケア

奥歯を磨くときは、口を少し閉じ気味にして頬の力を抜くと、歯ブラシが奥まで入りやすくなります。歯列の最も奥にある歯の後ろ側は、毛束が一つだけの「ワンタフトブラシ」を使うと毛先を当てやすくなります。

歯と歯の間の汚れは、歯ブラシだけでは落としにくい部分です。フロスや歯間ブラシを1日1回、寝る前に通すことを習慣にしましょう。歯間ブラシは、すき間に合ったサイズを選ぶことが大切です。

サイズ選びに迷う場合は、歯科医院で相談することもできます。また、歯が重なって並んでいる部分は、歯ブラシの毛先が届きにくく、汚れが残りやすい傾向があります。

磨き方を工夫しても汚れが残りやすい場合は、歯並びを整えて磨きやすくするという選択肢もあります。

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定期検診で腫れる前に見つける

歯周病や根の先の炎症は、痛みや腫れが出る前から少しずつ進んでいることが多い病気です。3〜4か月に1度を目安に定期検診を受けると、歯周ポケットの深さや歯石の付き方、被せ物の状態を確認できます。

歯科医院でのクリーニングでは、セルフケアでは落としきれない歯石や、奥歯の根の分かれ目の汚れを取り除きます。あわせて、磨き残しが多い場所に合わせた歯ブラシの当て方もお伝えします。

当院では予防を中心とした診療を大切にしており、再発を見据えた予防プランを患者さま一人ひとりに合わせてご提案しています。

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生活習慣と噛み合わせの見直し

歯茎の腫れを繰り返さないためには、口の中だけでなく、生活習慣にも目を向けることが役立ちます。睡眠不足や疲れが続くと体の抵抗力が下がり、歯茎の炎症が起こりやすくなります。

喫煙は歯茎の血流を減らし、歯周病を進めやすくするため、禁煙は歯茎を守るうえで有効な取り組みの一つです。

糖尿病のある方は、血糖値の管理と歯周病の治療を並行して進めることで、歯茎の状態が落ち着きやすくなります。また、寝ている間の歯ぎしりや日中の食いしばりがある方は、奥歯や根に強い力がかかり続けます。

「朝起きたときに顎がだるい」「気づくと奥歯を噛みしめている」という方は、歯科医院で相談してみてください。

就寝中に装着するマウスピース(ナイトガード)で、奥歯にかかる力をやわらげる方法もあります。

まとめ:奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いときは早めに原因を確かめましょう

奥歯の歯茎が腫れて押すと痛いのは、歯茎やその内側で炎症が起き、神経が敏感になっているサインと考えられます。

原因には、歯周病や歯周膿瘍、歯の根の先の炎症、親知らずの周りの炎症、歯の根のひび、食べ物の詰まりなどがあります。痛み方や腫れている場所は原因の手がかりになります。

ただし、複数の原因が重なることもあるため、最終的には歯科医院での検査で確かめる必要があります。受診までは、頬の外側から冷やす、口の中を清潔に保つといった応急処置を行いましょう。

患部を押す、温める、自己判断で抗生物質を飲むといった行動は避けることが大切です。顔まで腫れる、熱がある、口が開かないといった場合は、早急な受診が必要です。

痛みが引いても原因が残っていることがあるため、早めに原因を確かめることが歯を長く残すことにつながります。

兵庫県川西市、川西能勢口駅から徒歩3分の川西歯医者 ライフ歯科・矯正歯科・小児歯科では、歯茎の腫れの治療において、精密な検査で原因を見きわめ、再発を防いでなるべく歯を残すという方針で取り組んでいます。奥歯の歯茎の腫れや押したときの痛みでお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。

参考文献

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